『ぱちんこ シン・エヴァンゲリオン』に搭載される「終結の槍」と「終結のはじまり」の2曲を書き下ろした林原めぐみさんへのインタビュー第2弾。
今回のインタビューでは、あの駅で撮り下ろされたジャケットやビジュアル面について、お話を伺った。
林原めぐみ(以下=林原):はい。行ってまいりました山口県の宇部新川駅(笑)。
林原:10月の平日、人が少ない時間を選んで行ったんですけど、けっこう聖地巡礼に来ているファンの方がいまして。電車は1時間に1本ほどなので、(ファンの方と)重ならないように、隠れるように電車が行った後に、「今だ!」って撮影をしていました(笑)。
林原:気づかれてはいないんじゃないかなぁ。むしろ、こっちを向いている人がいても、たぶん私がいる位置で写真を撮りたい感じでしたね。ファンの方はもちろん、コスプレイヤーさんやYoutuberさんたちが今までも沢山訪ねているようなので、私は紛れていたと思います。
林原:このジャケットで手前にいる私は通称・黒レイちゃん。つまり、アヤナミレイ(仮称) のあくまでイメージです。作品のエンディングには、ぼんやりとカヲル君のような、ぼんやりとレイのような、アスカのような、そして成長したシンジ君とマリちゃんが居たんですけど、黒レイちゃんは居なかった。これは私のわがままだと思うのですが、黒レイちゃんも連れて行ってあげたかったなって思って。もちろん、シンジ君とマリちゃんが飛び込んだどこかの店にいて、にんにくラーメンチャーシュー抜きを食べているのかもしれないけど(笑)
林原:黒レイちゃんが持つ「分かりたい」という純粋な気持ちがありながらも、その世界の住人にはなれなかった違和感。宇部新川駅にこの黒い服の人が普通にいたら変だなっていう違和感は表現しつつも、魂だけはあそこに連れてってあげたかったなっていうような想い。そして、それを皆さんはどう感じ、どう思うか。
林原:衣装は黒いワンピースでプラグスーツではないし、黒レイちゃんそのものではないけれど、黒レイちゃんを連想してもらえたらいいなと。もちろん、今回も林原画伯の恐ろしい絵があって(笑)、ワンピースの首周りや肩は赤を指示しているんですけど、「これで作れる人どこにいるの!?」っていうね。
林原:そうです(笑)。衣装自体はなじみのスタイリストさんにお願いしたんだけど、割ととんがった感じの林原画伯のデザイン画を渡しても受け入れてくれる人です(笑)。前回は、ここはゴジラ、ここはキングギドラだから金。で、初号機は女性だからスカート、でも和風に帯をといった感じでした。衣装にも闘争心みたいなものが全開でしたが、新曲はエヴァの世界観に気持ちを戻してデザインをしました。
林原:もちろん、いつも周りにはジャケットワークのデザイナーさんやカメラマン、メイクさんや衣装さんはいらっしゃるんですが、まずは、全体コンセプトを、私からイメージとしてお伝えするという感じです。ずいぶん前から、横書きで言うと「プロデュース」というものをしてきていますかね。
林原:あります!もちろん、意味があります。タイトル文字の色違いを指摘した方は初めてですね。「終」が黒なのは、黒レイちゃんの黒です。黒レイちゃんは『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で命が「終」わってしまっているんですよね。「の」が赤いのは、黒レイちゃんにも水色のレイちゃんにも共通している赤い瞳。そして、他の文字の水色はもちろん、通称・白レイちゃんです。
林原:アイディアとして出した時には、色が多くてガチャガチャするかなと思ったんですけど、そういうガチャガチャも含めて意味がある。エヴァファンは探すのが好きで、答え合わせも好きだから、こういう意味あるものを随所に入れています。
林原:先日、JAXAを辞めてカラーで『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の制作進行を務めた成田和優さん(書籍『プロジェクト・シン・エヴァンゲリオン』著者、発売中)と対談をしたんです。エヴァという作品がただの娯楽だけではなく、人生にすら影響を与えた。もちろん、クリエイター的な仕事だけではなく、自身の生き方そのものに影響を与えられた人たちもたくさんいる作品なので、そういう人たちが楽曲を聴いたときに、もう一度過去も、今も、振り返って味わえるようにしたいなとは思っています。
歌詞だけでなく、ビジュアル面でもクリエイティビティを発揮する林原めぐみさん。その原動力にはエヴァンゲリオンという作品・物語への強い想いと、長年エヴァを愛してくれたファンへの“アンセム”としてのこだわりなのではないだろうか。
次回12月20日に公開を予定しているインタビューでは、長年「ぱちんこエヴァンゲリオンシリーズ」とタイアップしてきた「シュウケツシリーズ」についてお話いただきます。ご期待ください。
●プロフィール
林原めぐみ(はやしばら・めぐみ)
3月30日生 東京都出身 血液型O型。高校卒業後、看護学校に通いながら声優を志す。'86年にテレビアニメ「めぞん一刻」の幼稚園児役で声優デビュー。以降、数多くのアニメキャラクターを演じつづけている。また、DJ、歌手、作詞、エッセイ執筆など、幅広く活躍中。